Break〜ピアノの小話〜

黒鍵と白鍵の歴史

左の画像はモーツァルトとその家族の肖像画です。
左から2番目がモーツァルトですが、その手元に注目してください。
(画像にカーソルをのせると拡大します)
鍵盤が白黒逆になってます。
「どうしてだろう?」と思いませんか?
そこで今回は黒鍵と白鍵の歴史について書いてみます。
紛らわしいので現在のピアノで言う黒鍵は「シャープキー」
白鍵は「ナチュラルキー」
とします。


最初はどっちだった?

まずはピアノの先祖に当たる鍵盤楽器から。
14世紀頃に生まれたクラヴィコードと呼ばれる鍵盤楽器があります。
その鍵盤に使われたのは、シャープキーは黒檀、ナチュラルキーは木そのままか薄い板を張ったものでした。
他にはナチュラルキーに牛骨が使われていたこともあります。
つまり最初は現在と同じような配色だったのです。


何故変わったの?

しかしナチュラルキーの表面が使われるうちに磨り減り、黒ずんで黒鍵と見分けが付きにくく弾きにくかったそうです。
それで変わりに使われた素材が”象牙”でした。
ただ象牙は当時も希少で高価なのでナチュラルキー全てに使うとなると、大量に必要になり、また制作費も多くかかります。
それで使う量の少ないシャープキーに象牙を使い、ナチュラルキーには黒檀を使うようになりました。
メーカーによっては今までの配色のままの所もあります。

またこの配色には諸説があって「演奏する女性の手がより美しく見えるから」という理由も説もあります。


いつから今と同じになった?

このナチュラルキーが黒の配色は18世紀頃までは一般的でした。
18世紀後半になると産業革命やフランス革命が起こり一般市民も富を持ち始めます。
自らの裕福さを誇示し生活が豊かである証のように美術品などにも贅を凝らしました。
ピアノもより贅沢にナチュラルキーに象牙を使った高価なものが好まれるようになったのです。
そこでまた最初と同じようにナチュラルキーが白いピアノが多くなりました。
そして現在もそのままの配色に落ち着いています。
今は象牙の鍵盤もありますが白鍵は合成樹脂の板を張り合わせて作られています。


まとめ

  14世紀ごろ
今と同じ配色。
素材は木か牛骨。 
 
  使ううちに磨り減り、
黒ずむ。 
   
 
 
  象牙を使おうとするが、
希少で高価であった。 
 
  象牙を使う数を少なくするため、
白、黒逆になった。 
   
 
 
  高価な象牙を沢山使うことで、
富を誇示した。
配色が戻る。 
 
  現在でもそのままの配置。
素材は合成樹脂が主。 

今回はピアノの鍵盤の歴史を紹介しましが、ピアノの構造の歴史などを知っておくと更に曲の理解を深める手助けになるので興味があったら調べてみてくださいね。



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