ピアノソナタとかヴァイオリンソナタとかよく聞くけど”ソナタ”って何? と思われている人も多いと思います。 ソナタはバロック時代までは単なる器楽曲の1つでした。 漠然としたもので「これがソナタだ」という決まりがありませんでした。 それが段々発達して形式(決まりごとのようなもの)ができました。 音楽用語辞典でソナタを調べると、 「 古典派以降からはソナタ形式を含む多楽章からなる器楽曲のこと」 のような説明がしてあると思います。 (古典派とはベートーヴェンが活躍していた時代ですね) ピアノソナタ第○楽章とか耳にしませんか? 第1楽章だけという曲もありますが殆どが3楽章か4楽章の多楽章です。 3楽章の場合「急(速いテンポの楽章)、緩(遅いテンポの楽章)、急」の組合せで書かれます。 4楽章の場合「急、緩、舞曲、急」の組合せで書かれます。 その楽章のうち1楽章だけでもソナタ形式で書かれていなければソナタとはいえません。 大抵は第1楽章がソナタ形式の曲が多いです。 ということは速めのテンポの曲ということになりますね。 ではソナタ形式って何?ソナタ形式とは「提示部」「展開部」「再現部」 の順序で書かれています。 難しそうですが要は 「材料となるメロディを提示します」 ↓ 「提示されたメロディを工夫して変えて(展開して)みます」 ↓ 「もう一度最初のメロディを再現します」 と大まかにいうとこんな感じ。簡単でしょ? では詳しくさらってみましょう。 提示部 最初に緩やかな序奏がある曲もあります。 ソナタ形式の曲は普通〜速いテンポなので,ソナタ形式じゃないって思わないでくださいね。 「材料となるメロディ」のことを"主題"といいます。 大抵は「第1主題」と「第2主題」があります。 第1主題が提示されると推移部を経て第2主題が提示されます。 第2主題は第1主題とは対照的な楽想を持っていて、第1主題が長調の場合は属調 短調の場合は平行調で書かれます。 展開部 第1,2主題を自由に展開させていくのが展開部。 作曲家の腕の見せ所です。 再現部 第1主題と第2主題が主調で再現される部分。 第2主題も主調になる所が提示部と違います。 そしてコーダ(終結部)で曲が終わります。 何となく分かったでしょうか? 次は実際に曲を見ながら分析してみましょう。
有名な曲がいいと思ったので”ベートーヴェンのピアノソナタop.13<悲愴>”を例にします。 楽譜が手元にない人はここからDLしてください。 (又はここを見ながらどうぞ) まずは何楽章から構成されているでしょう?→3楽章ですよね 各楽章のテンポも「急、緩、急」です。 何楽章がソナタ形式でしょう?→第1楽章 では第1楽章を見てみましょう。 何調でしょう?→ハ短調 提示部1〜131小節 速度はGrave(重々しく緩やかに)。これは序奏です。 速度がAllegroになる所までなので結構長めの序奏ですね。 Allegroから第1主題 です。 手が交差する部分から第2主題。変ホ短調。 第2主題が終わるとまた新しい第3の楽想が現れます。 そしてまたト短調のGraveが4小節あり展開部へと進みます。 展開部132〜193小節 第1主題が主に展開されていますがやや短めですね。 再現部194〜309小節 第2主題がヘ短調、 第3の楽想がハ短調で再現されています。 またGraveが現れ短い第1主題で締めくくられます。 ソナタ形式の例に則ってない所がありますね。 序奏の部分もただの序奏で終わらない所がこの曲の魅力の1つではないでしょうか。 ソナタ形式の他にも色々な形式があるので興味を持たれたら色々な形式を読んでみて下さいね。